自分で服を作る、あるいは既製品の修理をする際には、手縫い糸の選び方が重要となります。しかし、その種類は豊富で、どれを選べばいいのか迷ってしまうことも少なくないでしょう。
この記事では、失敗しない手縫い糸の選び方を詳しく解説します。記事を読めば、あなたのニーズにぴったりの手縫い糸を見つけることができるでしょう。
手縫い糸の選び方
手縫い糸を選ぶ際は、素材、太さ、色、強度、価格の5つのポイントを考慮することが重要です。
素材
手縫い糸の素材は、その特性によって使用目的や縫いやすさが大きく変わります。主な素材としては、綿、ポリエステル、レーヨン、ナイロンなどがあります。
- 綿糸は、伸縮性が低くしっかりとした縫い目が得られる特徴があります。天然素材なので、肌に優しく、手芸用品や子供の服などに適しています。
- ポリエステル糸は、強度が高く伸縮性もあるため、アウトドア用品やスポーツウェアなどに適しています。色褪せに強いため、洗濯を頻繁に行うものにもおすすめです。
- レーヨン糸は、光沢があり美しい縫い目が得られます。しかし、強度は低いため、装飾的な縫製や刺繍に向いています。
- ナイロン糸は、強度と耐久性が高く、特にアウトドア用品やバッグなどに適しています。
太さ
手縫い糸の太さは、縫い目の強度や見た目に大きく影響します。一般的に、糸の太さはNo.40、No.50、No.60などと表記され、数字が大きいほど糸は細くなります。
太い糸（No.40など）は、強度があり、大きな縫い目が特徴です。厚手の布や、縫い目を強調したい場合に適しています。一方、細い糸（No.60など）は、繊細な縫い目が特徴です。薄手の布や、縫い目を目立たせたくない場合に適しています。
色
手縫い糸の色は、作品の印象を大きく左右します。基本的には、布と同じ色の糸を選ぶことが多いですが、縫い目を強調したい場合には、布とは異なる色の糸を選ぶこともあります。
多くの色が揃っているブランドを選ぶと、より自由な色選びが可能となります。
強度
手縫い糸の強度は、縫製物の耐久性に直結します。強度が高い糸は、頻繁に洗濯するものや、強い力がかかるもの（バッグやアウトドア用品など）に適しています。
一方、装飾的な縫製や刺繍には、強度よりも見た目や風合いを重視することが多いです。
価格
手縫い糸の価格は、その品質や長さ、ブランドによって異なります。初心者の方は、まずは手頃な価格の糸から始め、縫いやすさや好みの素材、色を見つけていくと良いでしょう。
頻繁に色を変える場合や、大量に糸を使用する場合は、コストパフォーマンスを考慮して選びましょう。
手縫い糸の代表的なブランドと特徴
GÜTERMANN（グーテルマン）
ドイツ発の糸ブランドであるGÜTERMANNは、1864年の創業から長い歴史を持つ老舗ブランドです。その手縫い糸の特徴は、強度と耐久性に優れていることです。糸切れや糸よれが少ないため、長時間の手縫い作業でも安心して使用することができます。
GÜTERMANNの糸は色数が非常に豊富で、細かい色の違いまで揃えているのが特徴です。手縫い作品に色彩のニュアンスを加えたい方には特におすすめです。糸の光沢感が美しく、仕上がりに華やかさを加えます。
DMC（ディーエムシー）
フランスの老舗糸ブランド、DMCは、1746年創業という長い歴史を持ち、その高品質な糸は世界中で愛されています。特にクロスステッチや刺繍に使われることが多いです。
DMCの糸は、色落ちや色移りが少なく、長期間美しい状態を保つことができます。糸自体が滑らかで絡まりにくいため、手縫いが苦手な方でも扱いやすいです。DMCの刺繍糸は、色数が非常に豊富で、細やかな色彩表現が可能です。
Coats（コーツ）
英国発の糸ブランド、Coatsは、1755年創業の老舗で、その歴史と伝統は世界中の手芸愛好家から信頼されています。Coatsの手縫い糸は、耐久性と強度が高く、繊細な手縫い作品にも適しています。
糸の表面が滑らかで、糸通しがしやすいという特徴があります。これは、手縫い初心者にとっては大きなメリットと言えます。
SAKAMOTO（坂本）
日本の糸ブランド、SAKAMOTOは、特に和裁に使われることが多い糸を生産しています。その糸は、和服の繊細な仕立てに耐えうる強度と品質を持っています。
和裁用の糸としては珍しく、色数が豊富で、和服の色とマッチする糸が見つけやすいのも特徴です。
Clover（クロバー）
日本の手芸用品ブランド、Cloverは、手芸全般に対応した糸を提供しています。その糸は、手縫いはもちろん、刺繍やクロスステッチにも使える汎用性を持っています。
糸の扱いやすさとコストパフォーマンスの良さから、手縫い初心者におすすめのブランドと言えます。
| 企業名 | 創業年 | 理念 | 特徴 |
| GÜTERMANN（グーテルマン） | 1864年 | 強度と耐久性に優れた糸の提供 | 糸切れや糸よれが少なく、色数が非常に豊富。糸の光沢感が美しい。 |
| DMC（ディーエムシー） | 1746年 | 高品質な糸の提供 | 色落ちや色移りが少なく、滑らかで絡まりにくい。色数が非常に豊富。 |
| Coats（コーツ） | 1755年 | 耐久性と強度が高い糸の提供 | 糸の表面が滑らかで、糸通しがしやすい。 |
| SAKAMOTO（坂本） | 不明 | 和裁に耐えうる強度と品質の糸の提供 | 和裁用の糸として色数が豊富。 |
| Clover（クロバー） | 不明 | 手芸全般に対応した糸の提供 | 糸の扱いやすさとコストパフォーマンスが良い。 |
手縫い糸のよくある質問
手縫い糸の選び方について、よくある質問とその答えをまとめました。ここで得た知識が手縫い糸選びの助けとなること間違いありません。
Q1. 手縫い糸の太さはどう選べばいいの？
手縫い糸の太さ選びは、布地の厚さと縫い目の細かさによります。厚い布地には太い糸が、薄い布地には細い糸が適しています。
細かい縫い目を出す場合は細い糸を、大きな縫い目を作る場合は太い糸を選ぶと良いでしょう。
Q2. 手縫い糸の材質はどれがおすすめですか？
手縫い糸の材質は、糸の強度や伸縮性、光沢感などに影響します。コットン（綿）糸は強度があり、自然な風合いが好まれます。
ポリエステル糸は伸縮性に優れ、色あせにくいのが特徴です。シルク糸は光沢があり、上品な仕上がりになります。
Q3. 手縫い糸の色はどう選べばいいの？
手縫い糸の色選びは、縫いたい布地の色に合わせることが基本です。布地と同色の糸を選べば、縫い目が目立たなくなります。
逆に、布地とは異なる色の糸を選ぶと、縫い目を強調することができます。
Q4. 手縫い糸はどのくらいの長さが必要ですか？
手縫い糸の長さは、作業の効率に影響します。長すぎると扱いにくくなり、糸が絡まる可能性があります。
一方、短すぎると頻繁に糸をつけなおす必要があります。一般的には、腕の長さ程度が適しています。
Q5. 手縫い糸はどのブランドがおすすめですか？
手縫い糸のブランド選びは、糸の品質や価格、色のバリエーションなどによります。日本製の「クロバー」や「寺西化学工業」、ドイツ製の「グートルマン」などが有名です。
自分の用途や好みに合ったブランドを見つけることが大切です。
手縫い糸の選び方のまとめ
手縫い糸の選び方は、以下の5つのポイントに注意して選びましょう。
- 素材：縫い物の種類や目的によって選びます。コットン、ポリエステル、ナイロン、シルクなどがあります。
- 太さ：縫い物の種類によって選びます。細い糸は繊細な縫製や刺繍に、太い糸は厚手の布や革製品の縫製に適しています。
- 長さ：縫いたい物の大きさや量によって選びます。長い糸は大きな作品やたくさん縫う場合に適しています。
- 色：作品の色合いやデザインに合わせて選びます。多彩な色が揃っているブランドもありますので、自由に選べます。
- 価格：予算に合わせて選びます。高品質な糸ほど価格が高くなる傾向がありますが、長く使えばコスパは良いと言えます。
以上のポイントを踏まえ、自分の縫いたいものや目指す仕上がりに合った手縫い糸を選びましょう。GÜTERMANNやDMCなどの信頼できるブランドの糸を選ぶことで、縫い物がより楽しく、より美しく仕上がることでしょう。